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2010年:クラウドの1年、クラウドの10年

2010年02月08日09時00分 配信

何事にもサイクルがありがちだというのは興味深い。まず大型の集中管理コンピュータとダム端末から始まった。そして今は、スマートフォンが急成長し、スマートブックやスマートタブレット(うわさの iPad など)の成功が想定され、プラグコンピュータのようなデバイスが急増している。われわれは、苦い過去と良く似た未来に直面しているようだ。

どのような変化でも同じように、これまでの10年間トップに君臨したベンダーは、市場に対する考え方を大幅に変えない限り次の10年間はトップに君臨できないかもしれない。EMC、HP、および IBM など、元もと大規模システムから始まった企業各社は、サービス、構造、そしてシステムに利点があるかもしれない。しかしそれでも、彼らは自分の力を放棄するつもりのない個人ユーザーへの対応も余儀なくされるだろう。

一方、元もとユーザーに重点を置いてきた Apple や Microsoft のような企業は、大規模集中管理システムのコンセプトをもっと採り入れないと軽視されるようになってしまう。もちろん、これは Google などの新しい企業にとっては、次の波に乗ってそれを独占するまたとないチャンスとなってくる。ビジネスと一緒に成長することができるからだ。しかし、彼らにはまだほかのベンダーを撃破する必要がある。

これから来るものについて簡単に見ていこう。

● サービスベースのコンピューティング

われわれは、これを数年前からさまざまな名前で呼んできたが、その古くからの概念に現在付けられている名前が「クラウド」だ。しかし、これから出てくるのはハードウェアやソフトウェアではなくもっとサービス指向のものになるのが現実だ。徐々に有償化される可能性が高いものである。

振り返ると、「メインフレーム」コンピューティングもそのように始まった。メインフレームベンダーが犯した最大の過ちの1つは、リース/サービス中心のモデルを販売モデルへと転換させたことだ。後者は顧客の忠誠が確実なものとならず、彼らはもっと魅力的なほかのベンダーを見つけて乗り換えてしまった。

サービスベースのコンピューティングが抱える危険は、公益事業に近いモデルを踏襲していることだ。つまり、たちどころに成長がなくなる可能性がある。すると各社はまた製品を販売したくなり、安定していた収入と利益が四半期および年ごとの急激な変化するものへと変わってしまう。

しかし当面は、コストに見合った売上高の確保、大規模な設備投資削減の可能性、そして予期せぬ財政問題の削減について改善が見られるはずだ。

● パブリッククラウド対プライベートクラウド

ベンダー各社間の典型的な戦いと異なり、ここで注目すべきは低価格の「パブリッククラウド」サービスと、信頼性が高く、安全性も高いと思われるがより高価な「プライベートクラウド」との戦いだ。

ここでは明確な勝者が決まるとは思えないが、プライベートクラウドの取り組みは高いパフォーマンスと少ない問題を特長とし、パブリッククラウドの取り組みの方は低価格、セキュリティ侵害、パフォーマンスの問題を特長とするようになることが予想される。

一部の企業や公共団体は、一部もしくはすべての面でパブリッククラウドに関連するリスクを受け入れ、財政面のメリットを享受することになるが、そのほかはプライベートクラウドの利点を選び、そのメリットがコストに見合うことを悟るだろう。疑う余地なくいずれを選んでも間違いを犯す可能性はあり、適切にコスト削減とメリットのバランスをとって妥当な判断を下せるようにすることが課題となる。

● Google や EMC は新たなキングメーカーなのか?

両社の違いを考えるとこれはかなり奇妙な質問に思えるかもしれない。このプライベートクラウド対パブリッククラウドの戦いのなかで、両社は確実に正反対に位置づけられる。Google にはエンタープライズベンダーとしての信望が必要だが、もし彼らがそれになろうとすれば、Microsoft の過ちを繰り返し、同社を2000年代の寵児にした要因の大半を失うだろう。それは、Microsoft がこれまでの10年間で大企業に重点を置いたために同社を1990年代の寵児にした要因の大半を失ったのと同じようなことだ。

EMC の方は、反対の方向に歩み寄り、ここ最近の10年間技術関連の予算の大半を握ってきた現場のマネージャーの力をつかむ必要がある。EMC の顧客満足実現に対する取り組みは素晴らしく、市場をリードしている。しかし彼らには、パブリッククラウドの方向に進んだ方がはるかにシンプルだと認識していると思われる意思決定者に訴えるゆとりが必要になってくる。ところが、彼らが極端にその方向に行ってしまうと、大企業の利点を損なう可能性があるのだ。

両企業がパートナーとの間の溝を埋めることができたとしたら、現在 Google よりもこのレベルの提携に優れた EMC が優位に立つ。だが、Google が Android によって PC の OEM ベースにも参入しつつあるなか、それも変化しているのかもしれない。

Google と Dell、Google と Lenovo と ThinkPad、そして特にこの市場に重点を置く Google と IBM の提携は、この新しい市場へと展開していくなか、かなり強力なものになるかもしれない。一方、EMC の方で興味深いのは、Apple との提携だ(しかし、Apple のパートナー関係の歴史を考えると、この関係を管理しなければならない、かわいそうな人物が長続きするとは思えない)。

● まとめ

結局、この戦いを最も顕著に示しているのは EMC と Google だと思われるが、どちらも、パブリッククラウドとプライベートクラウドの両方の要素によってこの世界を戦っていくことに完全に適した状況だとはまだ言えない。これまでの10年間が(少なくともビジネスの世界では)相互運用性で決まったように、新しい10年は提携で決まる可能性が高い。パブリックとプライベートの両方のコンポーネントを混在させたソリューションが登場し、これらの提携はわれわれがこれまで想像もできなかったものになるかもしれない。

これだけ多くの企業があるなかで、次の10年の一大勢力となるために必要なソフトウェアの要素と相互運用性の手法を(Azure によって)すべてそろえているのが Microsoft だけという点は興味深い。それには、.Net や同社の当初のインターネット戦略のような取り組みが必要になるだろう。もしかすると、これは Bill Gates 氏がしたように Steve Ballmer 氏が一気に同社の舵を取るための最大の試練になるだろう。

いずれ分かることだが、1つだけ確かなのは、この10年が過ぎて生き残ったベンダーは今日のそれとは一変しているだろうということだ。これまでの10年間に輝きを放った Apple でさえ、来たる「新世界」を反映するためには変わる必要が出てくるだろう。

今年、そしてこれからの10年が読者の皆さんが望むもの、そして必要とするものを与えてくれることを願っている。今年もご愛読をよろしくお願いしたい。

ジャパンインターネットコム



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