Bizma!の歩き方



トップページ > 特集「フルスクラッチよりも楽々ECサイト構築」

特集

フルスクラッチよりも楽々ECサイト構築 第1回:低コスト、カスタマイズできるECサイト構築パッケージ

2008年11月4日

ネットワーク上での商取引が活発化している今日、ECサイトの動向と、その構築・運用に関するソリューションが注目される。ECサイトの導入において、パッケージによるECサイト構築は、モール利用よりも独自性を持たせたいが、一から開発してサイト構築を行うよりはコストを抑えたいと考える企業にとって、最適なソリューションの1つであるといえる。今回は、矢野経済研究所上級研究員の坂田氏に、ECサイト構築パッケージの市場動向、導入メリット、プレーヤー、導入時の注意点などについてうかがった。

ECサイト構築パッケージとはどのようなものですか?株式会社矢野経済研究所 情報・通信産業本部 上級研究員 坂田 康一 氏

一口にECサイト構築のパッケージ製品といっても、簡易パッケージから大規模なものまで、様々なタイプがあります。 簡易パッケージは、ECの基本機能に絞り込んだ製品ですが、大規模向けECサイトでも利用できないことはありません。

しかし、ある程度、本格的運用を行うのであれば、大規模なパッケージを想定したほうかよいかもしれません。その場合には、自社運用に合わせて、カスタマイズが前提になると考えた方が良いでしょう。いわゆる「既存のモール利用」と、「フルスクラッチでの開発によるECサイト構築」の中間に位置するソリューションと考えていただければわかりやすいと思います。

既存モールを利用するよりも、自社の運用に合わせたカスタマイズが行えるといった自由度があると同時に、一からサイト構築を行うよりも導入コストを抑えられるというメリットがあります。

大規模パッケージをベースにカスタマイズを行う場合、サイトデザインのようなフロントエンド部分のみならず、商品管理やCRM(顧客管理)などについて既存のシステムを利用するのであれば、それらバックエンドとのシステム連携も重要になってきます。

簡易パッケージは、大規模パッケージに比較してコストや納期の面でメリットがありますが、その一方で自社の運用に合わせにくいことも想定されます。従って、パッケージを利用してECサイトを構築する際には、予算だけでなく運用面に関してもベンダとよく相談をしながら、慎重に検討を進めていく必要があります。

図1:ECサイト導入手法に関して 図1:ECサイト導入手法に関して

-ECサイト構築パッケージの市場動向について教えてください。

2007年のECサイト構築パッケージの市場規模は、約80億円の市場と推計しています。また、経済産業省の発表している電子商取引に関する市場調査によると、B to CのEC市場全体の規模は、2007年が5兆3000億円で、前年比で21.7%増となっています。今後、EC取引が順調に推移していけば、各企業の取り組みも増え、それにつれてECサイト構築パッケージの市場も伸びてゆくものと推測されます。

図2:BtoC EC 市場規模推移
出典:経済産業省「平成19年度我が国のIT利活用に関する調査研究」
図2:BtoC EC 市場規模推移

-主なプレーヤーと、その特長について教えてください。

本格運用が可能な多機能のパッケージとしては、ソフトクリエイトの「ecbeing」、コマース21の「 Commerce 21 Sell Side Solution」、システムインテグレータの「SI Web Shopping」、日本システムウエアの「CREOSS」、エンプレックスの「eMplex CRM」などが挙げられます。市場構成比は概算で、ソフトクリエイトが30%、コマース21、エンプレックス、システムインテグレータがそれぞれ10%、同4社で全体の6割というイメージで、続いて日本システムウエアが5%ほどになります。

これら5社の製品に差を見出すことは難しいですが、敢えて特長を述べるとすれば、ソフトクリエイト、コマース21の製品には非常に多くの機能が用意されており、拡張に優れています。 エンプレックスの「eMplex CRM」は、顧客情報を核にした様々なモジュールが連係可能な統合型CRM(Customer Relationship Management)パッケージであり、そのメリットがECサイトにも活用されています。また、エンプレックスはパッケージ製品と同様の機能をASPサービスでも提供しています。

これらのソフトクリエイト、コマース21、エンプレックスがパッケージベンダとしての位置づけが強いのに対し、システムインテグレータと日本システムウエアはSIerとしての性格が強く、前者はシステム開発力、後者はコンサルティング業務を含めたサービス提供を前面に打ち出しています。

図3:EC構築パッケージベンダに関して 図3:EC構築パッケージベンダに関して

-ECサイトにおいて、注目される新機能は?

最近注目されている機能としては、ポイントの付与機能や、ブログ構築、口コミ機能、SNSとの連携機能などがあります。一般的に、新機能はカスタマイズによって実現されることになりますが、それらの中でニーズの高いものはオプション機能としてラインナップされ、オプション機能としてユーザに採択されるケースが多いものは、標準機能として取り入れられていくことになります。

ECサイト構築の際には、これら機能の必要性を十分に検討し、取捨選択しながら構築していくことになりますが、機能は非常に多くありますから、どの機能を主として利用することになるのかを明確にしなければなりません。そのためには、ECサイトの開設目的や事業戦略を明確にする必要があります。

また、携帯電話のようなモバイル機器を通じた取引が伸びているため、パッケージベンダもモバイル機器を想定した機能には力を入れています。ただし、PCサイトに加えて、モバイルサイトも同時に自社運営する場合には管理の負担が増加することもあります。管理の負担増とそれに見合う効果のバランスを考慮し、実際にモバイル機器にも対応させるかどうかは、各社の戦略に応じて検討する必要があるでしょう。

図4:押さえておきたいECサイト機能 図4:押さえておきたいECサイト機能

-最後に、ECサイト構築パッケージの導入を考える中堅中小のユーザ企業へ、メッセージをお願いいたします。

ECはとても有効な手段になり得ると思いますが、ECには様々な機能や実施形態がありますから、それらを効果的に実行し、有益にするためには、販売戦略を明確にし、ECサイト開設の目的を見極めることが大切になってきます。

また、自社で運用する場合には、ユーザの声をダイレクト、かつタイムリーに反映できたり、独自の戦略でマーケティングを行ったりすることができるといった自由度がある反面、サイト運営や保守管理のための人手とコスト負担が必要になります。当然のことながら、サイトの更新、SEO(Search Engine Optimization)対策、集客の工夫等、運営上の課題について、自社でどのように解決していくのかということを考えておく必要があります。こうした運用面における負担を考慮し、既存モールやアウトソーシングを利用するという選択肢もあるわけです。

差し当たって販売チャネルを増加させたいのであれば、あまり手間をかけずにスモールスタートするのも一策ですし、これまで販路をつかめずにいたので、ここでECに注力していくのであれば、自前でサイトを持って運用していくのも良いでしょう。事業戦略と運用面を十分に検討し、明確にしたうえで、ECサイト構築を選択する場合には、自社の要望をパッケージベンダ、SIerにしっかり伝えることをお勧めいたします。

特集「フルスクラッチよりも楽々ECサイト構築」

第1回 低コスト、カスタマイズできるECサイト構築パッケージ
第2回 クローズアップ!ECサイト構築パッケージ

[フルスクラッチよりも楽々ECサイト構築関連ページ]

IT製品更新情報


ページの先頭へAr02