2008年10月14日
企業内の情報システムの複雑化、および保有するサーバ数の増加に伴い、システム運用効率の改善が大きな課題となっている。そのような背景から、システム運用の外部データセンターへの委託が進み、ホスティングの利用が拡大している。 調査会社IDC Japanは、国内データセンターサービスの2007年度の市場規模予測を発表した。IDC Japanでは、データセンターサービスを、コロケーション(ハウジング)、ホスティング、ITサービスの3つのカテゴリーに分類して分析を行っている。今回は、IDC JapanのITサービスリサーチマネージャー 伊藤未明氏に、ホスティングサービスの市場動向と導入メリット、利用状況などについて伺った。
-ホスティングとコロケーションの違いは?
私共では、データセンターサービスの種類を、コロケーションとホスティングの2つに分けています。両者の違いは、データセンターに設置されているサーバやネットワークなどのインフラ部分の所有権を、ユーザ側が持っているのか、それともデータセンター事業者が持っているのかというところになります。この所有権をユーザ側が持っている場合はコロケーション、データセンター事業者側が持っている場合はホスティングと呼んでいます。そのため、コロケーションではサーバの利用料は発生しませんが、ホスティングでは発生することになります。
また、コロケーションはホスティングと比べると導入時に初期コストがかかり、管理にも少し手間がかかりますが、カスタマイズしやすいのが特徴です。それに対して、ホスティングはカスタマイズなどには適していませんが、比較的初期コストがかかりません。どちらのサービスを利用するかは、規模の大きさ、それを資産として持っている方がよいか、そして運用の独自要件があるかどうかによって考えるとよいでしょう。
-ホスティングサービスの市場動向について教えてください。
コロケーション、ホスティング、ITサービスについて、セグメント別に投資額を比較してみると、次のグラフのようになります。ここでコロケーション、ホスティングは、ラック・サーバを使用するための基本料金だけを含み、導入に関するコンサルティングやSI、保守管理、オプションサービスなどは、すべてITサービスに含めています。これらの2007年における比率は、大まかにコロケーションが30%、ホスティングが14%、ITサービスが56%程度であると推測しています。コロケーションとホスティングは、場所とハードウェアの利用代のみですから、単価としてそれほど大きくないのですが、ITサービスの市場は、人件費が直接関わってくる部分ですから、金額が大きくなります。
国内データセンターサービス市場全体の市場規模は、2007年では前年比14.3%増の6,776億円と予測され、また2011年には1兆1,045億円に達する見込みです。これは、2007~2011年の間で平均すると年率13%の増加となり、このうちコロケーションについては3~4%、ホスティングとITサービスは、それぞれ16%程の成長になります。ホスティングの利用拡大と共に、ITサービスのニーズが高まっていることがわかります。
最近では、データセンターサービスが二極化する傾向があります。低価格で多くのユーザにサービスを提供し、その代わり設備投資はしっかりと行うような薄利多売型の事業者と、運用保守の付加価値の提供に力を入れている事業者と、大きく2種類に別れています。しかし、大企業ほど運用保守の人件費はできるだけ抑えたいと考えることが多く、付加価値の高い運用サービスに関心が高いため、全体としてITサービスが伸びていると考えられます。
-どのような用途でホスティングが利用されることが多いですか?
ホスティングの各用途について、企業規模別の利用率の集計を行うと、コロケーションの利用率は大企業の方が大きいのですが、ホスティングについては、特にメール、Webの用途でのホスティングに関しては、中小企業のほうが相対的に大きくなっています。メール、Web用のシステムは、不特定多数が利用するもので、保守にも手間がかかりますから、ホスティングに適した用途であり、しかも価格が安いため、SMBに積極的に利用されていると考えられます。逆に、それ以外の用途では、SMBにはあまり利用されていません。
-ホスティングのメリットがあるのはどのようなときですか?
例えば、中堅中小企業において自社運用している会計システムがあるとき、それは使用する人も時期も限られていますし、運用の手間もそれほどかかりませんので、通常はコロケーションやホスティングなどで、外部へ移行することにメリットは少ないでしょう。サーバ1~2台程度のホスティングでは、それほどのコストダウンにはなりませんし、もともと管理コストもかかっていませんので、実際のメリットはあまりありません。
しかし、Web関係のビジネスを行っている企業などにおいては、サーバを外部へ出すメリットはあると言えます。例えば、Linuxサーバ20台で、コンテンツ配信を行っている場合を考えたとき、自社内ですべてを管理するのはスケーラビリティを考えてもなかなか大変です。メールサーバなどもそうですが、難易度の高い運用要件のあるときは、ホスティングが有効な場合があります。その企業の業種、サーバの利用目的などによって、判断する必要があります。
-ホスティングサービスを提供しているプレーヤは?
大企業に限らず中堅企業でも比較的よく利用されているのが、NTTコミュニケーションズ、KDDI、ソフトバンクなどのいわゆるキャリアのデータセンターです。もともと通信事業を行っていたということで、ユーザには安心感があり、ファーストチョイスとして浮かび易いと言えます。7、8年前には設備の整ったデータセンターといえば、キャリアのデータセンターぐらいしかなかったため、その頃からずっと利用しているというところも多いでしょう。
業種別で言えば、例えばWeb系の企業によく利用されるデータセンターとしては、さくらインターネット、ビットアイルなどがあります。また、金融系では、重厚長大型のデータセンターである、富士通、日立、NEC、NTTデータ、IBMという伝統的なITベンダが強いです。これらは基本的に大企業向けですが、NRIなどは中堅の証券会社にも利用されています。中堅中小企業に強みを持っているのは大塚商会などですが、ホスティングだけではなく、同時にERPのパッケージなどのアプリケーション製品を提供するサービスを展開しています。
-Bizma! 読者へのメッセージ 最後に、ホスティングサービスの利用を検討している中堅中小のユーザ企業へ、メッセージをお願いいたします。
最近では、サーバをレンタルする形でのデータセンターサービスという、コロケーションとホスティングの中間のようなサービスも出てきまして、色々な形態のサービスが提供されるようになりました。現在、どのようなサービスがあるのか、まずは色々と情報を集め、ベンダにもよく質問してみるのがよいと思います。
サービスを選ぶ際のポイントとしては、価格は言うまでもないですが、その他に、サーバの可用性やセキュリティについて、どこまでのサービスを提供してもらえるのかを、しっかりとチェックすることが大事でしょう。特に、外部との接点を持つサーバでは、それが重要になってきます。ダウンしたときに、どれくらいで復旧するかということなども確認しておくのがよいでしょう。
そしてサービスの選定を行う中で、サーバを使用する目的をもう一度整理する必要があります。コストを削減する目的であるのか。それとも多少コストをかけてでもシステムの可用性を高めることであるのか。その辺を明確にして、いくつかのベンダと相談しながら考えていけば、選択するベンダも自ずと絞られてくるはずです。
特集「中堅中小企業にこそ導入メリットがあるホスティングサービス 」
| 第1回 | 適材適所でサービス導入を選択するには |
| 第2回 | SMBに最適なホスティングサービスはコレだ! |
[中堅中小企業にこそ導入メリットがあるホスティングサービス関連ページ]
- ホスティング
- AT-LINK 専用サーバ・サービス (株式会社リンク)
- 専用サーバ (さくらインターネット株式会社)
- ホスティングサービス (ソフトバンクIDC株式会社)











