2008年10月7日
ERP市場は順調な成長を続けている。大手ERPベンダが統合型ERP製品ラインアップの一環として複数の業種向けソリューションを取り揃えるというアプローチを取る一方、中堅中小向けERPベンダでは当初から特定の業種を対象とし、それに特化したソリューションを提供している。今回は、調査会社ノークリサーチの青木氏に、業種特化型ERPパッケージの種類や、導入メリットなどについて伺った。
-ERP製品の市場動向について教えてください。
中堅中小企業におけるERPの市場規模は、今年も順調に推移しています。調査結果により、2007年度の成長率は108.7%と見込んでおり、また2008来年度は対前年比110%程度で推移すると予測しています。ERPの導入形態については、大きな割合を占めていたオフコンからのリプレースが一段落ついて、これからは競合パッケージからのリプレース、あるいは今まで単機能のパッケージソフトを導入していたところが、もうワンランク上のソリューションとしてERPを導入するケースが増えてきています。
-業種特化型ERPとはどのようなものですか?
ERP市場の競争が激しくなる中、製品の差別化を図る方法の1つとして、各ERPベンダは、特定の業界、業種に特化したERPソリューションの提供を行っています。しかしながら統合型ERPのラインアップ強化と特定の業種を対象とした業種特化型ERPではコンセプトが大きく違います。例えば統合型ERPベンダですと、富士通やOBCは各パートナー企業の強みを活かしたアプローチしています。一方オービックは、直販の営業力、提案力、SIナレッジを武器にそれぞれの業種にアプローチしています。けれどもどちらの場合も業種に特化しているとは言え、それぞれの業種を網羅する形で用意したテンプレートを使った、カスタマイズをメインとしたソリューションです。
それに対して、食品業に特化した内田洋行の「スーパーカクテル」シリーズ、製造業に特化したリード・レックスの「R-PiCS」、卸売業に特化した日立情報システムの「TENSUITE for Wholesale」などの特定の業種を狙ったERPでは、それぞれの業種に特化したソリューションで、各業種に特有の細かい機能をパッケージに取り込んでいます。この後者の方が、本来の意味での業種特化型ERPと言えると思います。例えば、食品業向けに特化したERPパッケージでは、賞味期限に関わること、在庫の管理の仕方(個数で管理するか、重さ・容積で管理するか等)、定貫・不定貫などといった、食品業に特有の機能を取り入れています。また、自動車部品、電気機械業など製造業向けのソリューションでは、受託生産の効率化・安定稼動を支援する機能などを搭載しています。
-業種特化型のERPのメリットは何ですか? また主なターゲットは?
それぞれの業種に特化して機能を盛り込んで開発していますから、そのままカスタマイズなしで導入しても、標準的なことについては活用できることと、また、カスタマイズを行ったとしても必要な工数を少なくできるため、納期を早めることができるのが一番のメリットです。それに伴って、価格的にも安く提供できることになります。
年商が300億円を超える企業では、業種特化よりもさらに一歩踏み込んだ、企業独自の業務プロセスに合わせた、よりオーダーメイドに近いシステムが要求されるケースが多くあります。こういったケースでは予算も多くとっているため、手組みで構築する割合が大きく、業種特化型パッケージのメリットである工数短縮、短納期、低価格といったメリットが活かせなくなってしまいます。またERPを導入する企業規模を考慮すると年商100億~300億の企業がターゲットになると考えられます。
ERP業種全体で見れば、大企業の領域では一通りの導入が終わり、次にターゲットとして考えているのは中堅企業になります。業種特化型のERPは、対象を限定していますが、中堅企業の市場を開拓するための1つの戦略となります。また、本来は、フロント系やWeb系とも連携可能な、より先進的なERPを導入していくべきなのですが、中堅企業全体ではまだまだ連携度合いは低く、今後の課題となっています。
-どのような業種に特化したERP製品がありますか?
モジュール別にパッケージ化率を調査してみると、販売管理と生産管理においては低いという結果が出ています。例えば、会計や人事などの場合は、どのような業種においても、必要とされる機能に大きな変わりはないのですが、販売管理、生産管理は、扱う商品、サプライチェーンなどによって企業固有の要素が多いため、共通したパッケージにしづらいということが言えます。
そこに目をつけたのが、内田洋行、リード・レックス、日立情報システムなどが提供している業種特化型のERPで、販売管理、生産管理モジュールにおいて、特定の業種に特化して作り込むことで、カスタマイズなしでもそれなりに活用できことが大きな特徴となっています。
業種としては食品業、卸売業、組み立て製造業、電気機械業、部品製造業などに特化したパッケージがあります。
-業種特化型ERPベンダの販売戦略について教えてください。
業種特化型ERPベンダは、各業種に精通したコンサルティング力、提案力と、業種特化したパッケージを武器に導入を進めています。
この背景として、元々ERPはコンサルティングを前提として導入するパッケージですが、今までの中堅企業への導入ではコンサルティングが行われない場合が多いのが現実です。しかし最近では、コンサルティングの重要性、必要性が理解され始めています。
もう一つに業種特化型のERPを、他のERPパッケージと連携させて提供するケースが増えています。例えば日立のGEMPLANET、富士通のGLOVIA、NECのEXPLANNERなどの統合型ERPパッケージや、エス・エス・ジェイのSuperStreamなどの販売管理、生産管理モジュールを持たない業種特化型ERPパッケージとコラボレーションさせることで、業種別にアプローチをしています。
-Bizma!読者へのメッセージ 最後に、業種に特化したERPの導入を考える中堅中小のユーザ企業へ、メッセージをお願いいたします。
ERPの種類は多くあり、ベンダによって施策が全く異なりますので、よく情報を精査して、ユーザ自身が何をしたいのかをはっきりさせることが大事です。また、提供される情報量が多くなっていますので、手を抜かずに、幅広く色々なところに情報を求めていくべきでしょう。
先の展開を考えることも大切です。経営課題はいくつかあるはずなので、最終的に企業全体が解決できるように段取りを考え、重要なものから順に導入していく必要があります。ERPは元々経営視点で構築すべきシステムであり、最終的に単体の機能だけが別々にある状態では、ERPの利点はなくなってしまいます。また、業種特化型は特殊ですので、より戦略的な使い方をしなければいけません。単に機能だけではなく経営視点から企業全体最適を重視して、その業種で企業が勝ち残るために「戦略的な情報基盤」として見極めなくていかなければならないでしょう。
特集「一歩先行く中堅中小企業向け業種特化型ERP」
| 第1回 | パッケージよりも特化型ERPでカンタン導入 |
| 第2回 | 要チェック!特化型ERPソリューション |
[一歩先行く中堅中小企業向け業種特化型ERP関連ページ]
- 業種特化型ERP
- MJSLINK II (株式会社ミロク情報サービス)
- R-PiCS (株式会社リード・レックス)
- TENSUITE for Wholesale (株式会社日立情報システムズ)
- OrekaTR(01/05 15:35)
- ダイヤモンドポータル(12/25 12:30)
- PrintStream® Core SE(12/10 15:17)








