2008年7月17日
国内企業において、急増するファイルベースのデータの格納先や、バックアップストレージとしてNASの導入が進んでいる。また、内部統制の強化や災害対策の観点から、社内に分散しているファイルサーバを集約する機運が高まっており、より高機能/大容量のNASに対する需要が伸びている。
前回に引き続きは、IDC Japanのストレージシステムズリサーチアナリストの高松亜由智氏に、国内NAS市場の最新技術トレンド、それに応えるベンダの戦略についてうかがった。
- 前回に引き続きNAS市場を牽引している要因はあるのでしょうか。
ファイルサーバの統合のニーズが高まっていることも、NAS市場を牽引している1つの大きな要因になっていると考えられます。2007年は、災害対策や内部統制の強化を目的としたファイルサーバ統合が進展しました。ファイルサーバが分散している状態では、管理者の負担や管理コストも増えますし、データが分散していることからデータ保護やデータセキュリティなどの観点からも適しているとはいえません。ファイルサーバ統合ニーズの高まとりとともに、高機能/高容量NASへのニーズも高まっていると言えます。
この様に、全体的なファイルデータの増加、NAS投資の業種の拡大、バックアップなどの用途の広がり、ファイルサーバ統合のニーズの高まりなどが総合的に関連することでNAS市場を活性化させ、さらに高性能・信頼性といったものを求めるユーザが、より高いクラスの製品を選択するようになってきたと考えられます。
- ファイルサーバ統合のメリットとは何でしょうか?
データの一元管理をすることでの管理者の負担軽減や、データ管理の効率化という点から、フィルサーバ統合は大きなメリットがあると思います。データを一元管理することで、データ保護の強化が図りやすくなりますし、またどのようなデータが存在するかということも明確になってきますので、ポリシーベースのインフォメーション・ライフサイクル・マネージメントも実行可能になるわけです。
また、内部統制の強化の観点からも、ファイルサーバ統合は有効だと思います。ファイルサーバが乱立し、サーバ上のデータがどのように管理されているかが分からないということでは、当然ながら情報セキュリティを考えるうえで好ましくありません。また、各部署や支社などで独自にファイルサーバを使用している状態では、内部統制という観点からも問題になるでしょう。
逆にいえば、無尽蔵に増加しているファイルデータを効率よく、そしてセキュアな状態で管理しなければならないということが企業にとって大きな命題であり、ここで効率化というのは、コストや管理負担の面とも関係しますし、セキュアというのは内部統制、コンプライアンス、災害対策など様々なことに関係します。このように、それぞれの問題はひとつひとつがばらばらに存在しているのではなく、全て関連し合っているのです。
ファイルサーバの統合を行う中で、このようなニーズが色々と表面化してくると思いますが、それに対してNAS製品が提供する機能は、有効に活用できるはずです。
- 製品のクラスによって、機能はどう変わってきますか?
1システムあたりの容量自体も差がありますが、搭載される機能にも違いが出てきます。まず、管理者の負担がどれだけ軽減されるかという点が重要になってきますので、クラスが高くなるほど管理機能について高機能となる製品が多いです。それに伴ってデータ保護やセキュリティに関する機能も強化されます。ミッドレンジ以上となれば、遠隔のレプリケーション機能やスナップショット機能など、より高い機能が搭載されるようになり、そのような意味では、エントリーが提供できるものとは違う、一歩進んだものになります。
- ストレージの課題や、技術トレンドは何ですか?
ファイルサーバ統合のメリットは今お話したようなことが挙げられるのですが、実際導入するに当たって、ユーザ側が課題を抱えていることも事実です。ユーザサーベイにおいて、「ファイルサーバ統合にあたっての課題」についての質問に対して、“データパフォーマンスファイルアクセスのパフォーマンスの低下”“アクセスパス変更についての負担”“データ遅延”、“データマイグレーションの際のダウンタイム”などの回答が多くなってきています。
しかし、こういったファイルサーバ統合に伴う課題を解決する様々な技術が、すでにベンダから提案されています。たとえば、WAN遅延を回避するWANの高速化テクノロジーですとか、ファイルサーバを論理的に統合するファイル仮想化の技術などの提案も進んでいます。特にファイル仮想化技術は、クライアントのアクセスとデータの保存領域の物理的な関係を解き放ち、アクセスパス変更の作業負担や無停止でのデータマイグレーションが実現できるため、ファイルサーバ統合の導入障壁を低くする有効な技術ではないかと思います。また、ファイルサーバ仮想化後は、ストレージリソースの使用率の向上も期待できます。
その他にも、ファイルデータの管理の効率化を助ける技術なども多く提案されています。このような技術を盛り込んだ提案をベンダが提案することによってファイルサーバの統合が促進されると考えられます。
- プレーヤーの戦略について教えてください。
現状では既存のストレージベンダはローエンドからミッドレンジを強化している状況です。そのような背景の中で、ローエンド、ミッドレンジ市場の売上が伸びています。
中小規模ユーザにおける大容量/低価格のネットワークディスク需要や、エントリーNASの潜在需要やこれからも高くあり続けると思います。しかし今後は、ネットワークディスクやエントリークラスのNASをいくつも立てているユーザからは、当然統合ニーズが出てくることになります。その際に、中堅企業や中小規模システムユーザの中核のファイルサーバとして、ローエンド以上のクラスを選択されることも多くなってくると思われます。
現在、Windowsストレージサーバ系のエントリー製品を提供しているHP、DELL、NECなどは、より高機能を追加したローエンド製品を強化しており、もう一方で、ミッドレンジの市場でシェアの高い独自OS系のネットアップも、ローエンド製品を提供しはじめています。つまり、エントリークラスがメインだったところがローエンドの市場へ参入すると共に、ミッドレンジクラス以上の市場がメインだったところも、ローエンドの市場へ入ってきている状況になっています。そういう意味で、ローエンド市場はかなり活発になってきているといえます。
- NASの導入を考えている中堅中小ユーザ企業へメッセージをお願いします。
これまで中堅中小企業のストレージ全体の投資はなかなか進んでいませんでした。それは中堅中小企業が大企業と比べて、ストレージに関して異なる課題を持っているということではなく、ファイルサーバ統合、データ管理の効率化、データセキュリティ強化など、中堅中小企業でもやはり同様な課題を抱えています。意識の面では、必ずしも大企業とかけ離れているわけではなく、ただ様々な要因から、実際の投資に結びついていなかっただけといえます。
その要因は予算以外でも、管理者のスキル、社内環境の問題など、色々と考えられますが、現在はストレージベンダが様々な課題を解決するソリューションを提供しており、NASもその有効な選択肢の1つ状況にあるといえます。ファイルデータの管理に関連した課題をお持ちの中堅中小企業様は、一度ご検討いただくとよいかと思います。
また、製品の選択について迷われることがあるかと思いますが、その場合には、やはり自社の抱える課題に適したソリューションを持っているかどうかを基準として考えるのがよいと思います。自社の目的が、サーバファイルサーバ統合なのか、バックアップなのか、アーカイブなのか、などという課題を整理し、そのソリューションによって、具体的にそれがどう解決されるかということを考えて選ぶのがよいでしょう。
取材協力:IDC Japan 株式会社
中堅中小企業向けNASサーバ製品最前線
| 第1回 | ファイル共有+膨大なデータ統合・バックアップの決め手、NASサーバ(前編) |
| 第2回 | ファイル共有+膨大なデータ統合・バックアップの決め手、NASサーバ(後編) |
- OrekaTR(01/05 15:35)
- ダイヤモンドポータル(12/25 12:30)
- PrintStream® Core SE(12/10 15:17)







