2008年7月10日
国内企業において、急増するファイルベースのデータの格納先や、バックアップストレージとしてNASの導入が進んでいる。また、内部統制の強化や災害対策の観点から、社内に分散しているファイルサーバを集約する機運が高まっており、より高機能/大容量のNASに対する需要が伸びている。中堅中小企業や、大企業の部門などの中小規模ユーザにおいても、より大容量/高機能のNASを選択するケースが増えており、ローエンド(システム価格50万~250万円未満)~ミッドレンジ(システム価格250万~1,000万未満)製品のニーズが高まっている。このような背景から、ストレージベンダは中小規模ユーザ企業向け製品のリリースに力を入れ、また、ストレージに関連した各種ソリューションを提案している。
今回は、IDC Japanのストレージシステムズリサーチアナリストの高松亜由智氏に、国内NAS市場の市場動向とトレンド、導入のポイントなどについてうかがった。
※NAS (Network Attached Storage)
NASはファイルサーバの用途に特化したアプライアンスサーバ製品。
- NAS市場の動向について教えて下さい。
2007年(1月~12月)における、国内でのNASの売上は278億5,600万円で、対前年比で22.5%増でした。国内外付型ディスクストレージシステム全体の市場が、対前年比1.1%増であるという結果から見ても、いかにNAS市場の成長率が高いかということがうかがえます。2005年から3年連続の2桁成長で、ストレージ製品の中で、これほど成長しているカテゴリは稀であるといえます。出荷台数が同2.6%増の1万4,150台、出荷容量が同72.1%増の56.0ペタバイトで、出荷容量についても高い伸びを示しています。
ストレージへの投資は、金額ベースでは大企業の投資が圧倒的に多いですが、伸び率という点ではSMBが非常に高くなっています。中でも中堅企業(従業員数500名から999名)の投資意欲が高いと思われ、そのレンジにおいても、ファイルデータ管理の効率化やファイルサーバの統合、データセキュリティ強化などの観点から、より高機能なNAS製品へのニーズも高まっていると思われます。
NAS市場の中での動向として特徴的であるのは、2006年まで伸びていたエントリーNAS市場が2007年ではマイナス成長に転じ、それに対してローエンドとミッドレンジが非常に高い伸びを示していることです。その理由の1つに、高容量/高機能を求める中堅企業などが、エントリーからローエンド以上のクラスを選択するケースが増えたことが挙げられます。
また一方で、低価格を求めるユーザ企業が、大容量でより廉価なネットワークディスクを利用するようになってきたことも影響していると考えられます。中堅・中小企業や大企業の部門などで、ストレージ容量を追加したいというような場合に、安価で手軽に導入できるネットワークディスクが多く選択されていることが予想されます。
- NAS市場の成長率が伸び続けているのはなぜですか?
現在、企業全般において、保有するファイルデータが非常に増えています。データベースなどの構造化されたデータも増加していますが、特にファイル形式のデータ量が著しく伸びていると思われ、その格納先としてNASが多く選択されていると考えられます。
NASが選ばれている理由としては、まずは価格のメリットが大きいと思います。例えば、SAN(Storage Area Network)では、ファイバーチャネルのネットワークを構築しなければならないということもありコストアップの要因になりますし、また管理者のスキルの問題も導入の障壁になるケースもあります。その点NASでは、既存のネットワーク環境をそのまま使用して、比較的簡易に構築できるものが多くあります。そういう意味では、価格メリットに加え、現在の資産を活用できること、管理者の負担が比較的少ないという利点もあるでしょう。その機能や操作性が、中堅中小企業にも受け入れられやすいものになっていることも、NASが選ばれている大きな理由だと思われます。
また、産業分野別に投資動向を見たとき、NASは、設計/開発データのストレージとして製造分野に導入比率が高いと判断しているのですが、全体的なファイルデータ量の伸びから、他の分野へも導入が拡大していると考えられます。特に、デジタルコンテンツでビジネスを行っているような、情報サービス業やメディア企業などへのNASの導入は進んでいるのではないかと思われます。このような業種の広がりの他、NASの用途がバックアップやアーカイブなど、データ量の伸びが著しい複製データの管理に広がってきていることも、NAS市場の成長を押し上げているといえます。
取材協力:IDC Japan 株式会社
中堅中小企業向けNASサーバ製品最前線
| 第1回 | ファイル共有+膨大なデータ統合・バックアップの決め手、NASサーバ(前編) |
| 第2回 | ファイル共有+膨大なデータ統合・バックアップの決め手、NASサーバ(後編) |









