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失敗しないドキュメントソリューション選びハンドブック 第1回:最新複合機・プリンタ市場動向2008

2008年6月24日

e-文書法の施行を契機として、さらに文書の電子化が進む今日において、文書管理やセキュリティがますます重要性を帯びている。そのような中、文書に関連する業務の効率化や、出力機器運用に関するコスト削減を図るためのドキュメント・ソリューションが注目されている。ベンダは、機器本体をはじめとして、文書管理ソフトウェア、セキュリティ機能、出力管理機能など多様化したサービスを提供している。
今回は、ガートナー ジャパン リサーチ プリンティング マーケット担当 主席アナリストの三谷智子氏に、中堅中小企業におけるドキュメント・ソリューションに関連して、複合機の市場動向、最新トレンド、導入のポイントについて伺った。

- 複合機の市場動向について教えてください。ガートナー ジャパン株式会社 リサーチ プリンティング マーケット担当 主席アナリスト 三谷 智子氏

昨年(2007年1~12月)における、複写機の市場調査結果をご覧いただければ、リコー、キヤノン、富士ゼロックスの3社が、複写機(モノクロ・カラー)の上位シェアを占めていることがわかると思います。次いでシャープ、そして合併してからシェアを伸ばしたコニカミノルタと続きます。それ以外のメーカーに関しては、数パーセントの違いで競い合っている状態です。

図1:最新!複合機導入シェア(モノクロ)

図1:最新!複合機導入シェア(モノクロ)

図2:最新!複合機導入シェア(カラー)

図2:最新!複合機導入シェア(カラー)

フロアートップ(フロアーに設置するタイプ)の複写機だけをみれば、リコーのシェアは特に高くなります。ほぼ半分が直販で、比較的中小企業への販売数が多くなっています。リコーは、全国津々浦々にサービス網を展開し、セールスマンの数は直販だけで1万人以上という規模を持っています。またPC、ソフトウェア、ネットワークといったIT関連商品の需要にも対応し、きめ細かいサービスを行っていることが、高いシェアを維持している一番の理由だと考えられます。

キヤノンは代理店販売が多いのが特徴です。6~7割が代理店販売で、専売店も多いです。A4の複写機「ファミリーコピア」という製品が現在も販売されていますが、徐々に減少しています。後継機種としてA4サイズのデジタル複写機の販売も行っていますが、堅調な販売が続いています。カラーよりモノクロのシェアが高いのはそのためです。富士ゼロックスは、その販売経路のほとんどが直販で、特に高速機器に強いのが特徴です。また、カラー複写機の販売に非常に力を入れており、その成果によってカラーの市場でのトップシェアをとっています。

カラー複写機は、中堅中小企業へも既にだいぶ普及してきていますが、これからさらに導入は進んでいくと思います。中堅中小企業では、それほど高速機は必要ないということもあり、販売数が多いのは、高速機よりも中速機、低速機が中心です。例えば、複合機を1台だけ導入したいという中小企業では、毎分30枚程度の速度のゾーンに入るカラー複合機を1台購入し、トラブルの際には(大都市圏で)1時間以内に修理に駆け付けるサービスがあるということで、満足して利用されるケースが多いです。また、後でもお話ししますが、複合機と同時に導入できるソフトウェアが、重宝がられることがしばしばありますので、その辺も注目するとよいでしょう。

- 複合機のプラットフォームとは、どのようなソフトウェアですか?

複合機には、プラットフォームと呼ばれるソフトウェアがあります。簡単に言えば、複合機上のOSのようなもので、そのプラットフォーム上で稼動するアプリケーションを使いやすくする機能を持っています。海外ではプラットフォームの利用はある程度進んでいますが、日本での導入はまだ1~2割程度です。

国内で一番早くから発表されていたのはキヤノンの「MEAP」で、シェアも一番高くなっています。その後は、富士ゼロックスの「Apeos」、シャープの「OSA」、そしてリコーの「Operius」の順で発表されました。過去のハードには、これらのプラットフォームが対応していないこともあり、現在では導入率は高くありませんが、セキュリティとも関連して、これから利用が進んでくる可能性は高いでしょう。

図3:複合のプラットフォームと呼ばれるソフトウェア

図3:複合のプラットフォームと呼ばれるソフトウェア

- 複合機と関連して利用できるアプリケーションにはどのようなものがありますか?

アプリケーションには色々ありますが、よく利用されるものとしては、例えば、キヤノンの「MEAP」上で動くソフトで、紙ベースの原稿をスキャナーで読み込んだデータをオフィスで使用する文書形式(ExcelやWord、一太郎等)に変換できるアプリケーションがあります。また、名刺を複合機上に複数並べてスキャニングを行うことで、名刺管理ソフトに一括でデータが取り込まれて整理ができるものなどがあります。お気づきのように、これらのアプリケーションの機能は、決して真新しいものではなく、どちらかと言えば従来からある機能を発展させたものに過ぎません。このように、よく利用されるアプリケーションというのは、最新機能を持ったものというよりも、結局、日常で使える簡単で便利な機能であるということがわかります。

- 文書管理ソフトにはどのような機能がありますか?

文書管理ソフトには、キヤノンの「imageWARE Document Manager」、富士ゼロックスの「DocuWorks」、リコーの「Ridoc Document System」などがあります。主な機能として、社内の文書の共有化、保存した文書を簡単に検索する機能や、異なるアプリケーションで作成された文書を、1つのファイルにまとめる機能などです。後者の機能については、例えば、富士ゼロックスの「DocuWorks」では、Excel、Word、PowerPointで作った文書があったとき、それぞれのファイルから必要なページを「DocuWorks」の画面上へドラッグ&ドロップして、1つの文書ファイルとしてまとめ、管理・印刷することができます。同様の機能は、リコーやキヤノンなど他社のソフトウェアでも提供されており、多くの企業で利用されています。

その他、プリントアウトするドキュメントに、自動的に日付や社名を入れるなどの設定を行うこともできます。プリンタや複合機では、今は機能がだいぶ充実していますので、「使っていてこんなことが出来たらいいな」と思う機能は大体備わっています。

図4:複合機導入率および付加機能定着率

図4:複合機導入率および付加機能定着率

- 注目しているセキュリティ機能はありますか?

大手企業ではだいぶ導入が進んでいる複合機のIDカード認証は、これから中堅中小企業にも普及していくと考えられます。パソコンから複合機へ印刷のジョブを送ると、通常はそれで印刷が開始されるわけですが、IDカード認証機能を導入している場合には、複合機でIDカードによる認証を行い、印刷する文書を選択してから印刷が開始されます。

このIDカード認証は、セキュリティ的にも効果があると同時に、運用管理の観点でみればコストの削減にもつながります。それは、間違えたジョブを送ってしまっても、その時点ではまだサーバへ蓄積されるだけですぐには印刷が実行されず、印刷するために複合機で認証を行い、必要な書類だけを選んで印刷することができるからです。これによって通常の2~3割、出力量を減らすことができるといいます。

IDカードは通常、入退出や出退勤で利用されることも多いですが、そのようなカードと複合機のIDカードを1つにまとめて利用することもできます。また、まだIDカードを利用していない企業では、IDカードを導入する良い機会になると思います。

社員数のあまり少ないところでは、複合機の利用状況は、管理を行わなくてもだいたい分かりますので、IDカード認証印刷を導入するかどうかは、社員数と複合機やプリンタの台数によって検討されるとよいでしょう。

- セキュリティ機能には、その他にどのようなものがありますか?

セキュリティは、今はどこのユーザ企業でも重視しています。紙による情報漏えいは非常に多いと言われ、書類の不正な持ち出しを防ぐための対策は、色々と研究されています。簡単なものでは、出力されるドキュメントの1つ1つに番号を入れる機能などがありますが、その他、住民票や車検証で利用されているような、印刷物を第三者がコピーしたときに、それが複写されたものであることがわかるように文字が浮き出てくるという技術や、紙幣に利用されているように、コピーしても写らないようにする技術などがあります。

新しい技術の1つに、富士ゼロックスの「紙指紋」という技術があります。印刷物に使用する紙は、一見同じに見えてもその繊維の構造はすべて異なっています。「紙指紋」は紙の繊維のパターン認識をする技術で、それによって、印刷物がオリジナルであるかコピーされたものであるかを見分けることができます。また、日立の情報漏えい抑止のための「電子透かし」の技術では、プリントする文字のドットパターンを微妙に変えることで、見た目にはわからなくとも、そこへ何か情報を埋め込むことを可能にします。さらにAdobeなどでは、文書の暗号化に力を入れています。

- セキュリティ機能を導入する際のアドバイスはありますか?

どこまでのセキュリティ対策を導入するかは、情報の重要度や利用環境によりますが、“管理されているということ”には抑制効果があります。利用者は“管理されている”と思うと、不正がしにくくなるものです。セキュリティを導入すると同時に、その内容の周知を図ることが効果的です。

セキュリティにおいて、複合機が関係してくるのは最終的にデータが出力される部分です。複合機ベンダが提供している文書管理アプリケーションには、重要書類を出力する段階において、各文書へアクセスできるユーザを制限する機能がありますので、このような機能を有効活用するとよいでしょう。また、アプリケーションによっては暗号化を行う機能があります。

恐らくこのような複合機ベンダーが提供している機能が役立つのは、大企業よりもむしろ中堅中小企業ではないかと思います。複合機を導入すると同時に、出力部分におけるセキュリティ機能を導入することができますので、手っ取り早くセキュリティ対策を行えます。また、他にも色々なアプリケーションを複合機と同時に導入できますので、セキュリティやアプリケーションにあまりコストをかけることができない企業では、ドキュメント・ソリューションが重宝することもあるでしょう。

- 運用管理のポイントについて教えてください。

運用管理で問題になるのは、コストの削減と運用の効率化です。まず、コストを削減するためには、出力管理を行うことによって不必要なプリントを抑制する必要があります。出力管理では、各出力機器でプリントアウトしたドキュメントのファイル名、時間、IDなどを、ログとしてすべて記録する機能があります。それによって、どの部署(あるいは個人)がどれだけプリントアウトを行っているかがわかり、また、それをグラフ表示させることもできます。セキュリティと同様に、“管理されていることを示す”ことによる抑制効果によって、コストの削減も図ることができるようになります。このように、管理側が運用管理しやすい機能は、現在かなり充実してきています。

次に、運用の効率化についてですが、ハードにしてもソフトにしても、“簡単に運用”できることがすなわち効率的な運用につながります。まず、管理側にとっては、出力管理機能を管理者がサーバ上で扱えることが重要で、今は少なくなっていますが、クライアントPC毎にソフトウェアを入れなければならないようでは効率的な運用はできません。そして、ユーザ側にとっては、“使いやすい”というのが一番です。家電製品でも何でもそうですが、使い難いものは使われなくなってしまうものです。

今では機能が増えて、高機能なものは結構操作が難しくなっています。機能はないよりあった方がよいと考えて、不必要な機能でも導入しがちですが、機能があることで業務が複雑になってしまっては意味がありません。実際、使わない機能を導入し、かえって非効率になったという例は意外とあります。それはコスト的にも無駄であると言えます。自社に必要な機能を、部署ごとに明確にした上で、導入を考えるのがよいでしょう。また、複合機のアプリケーションを導入するときには、全社で一遍に導入するのではなく、部署単位で様子を見ながら徐々に導入してみることをお勧めします。

- これから出力機器の導入・リプレースを考える中堅中小企業様へのメッセージをお願いします。

複合機を導入あるいはリプレースするときには、その複合機を購入することによって、同時に導入することができるドキュメント・ソリューションに、どのようなものがあるかを確認するのがよいでしょう。ハードそのものの性能は、今やそれほど大きな違いはないのですが、同時に利用できるアプリケーションやプラスアルファの機能などに差が出てきます。

自社の業務に必要なものを明確にし、その要求に合った付属の機能があれば、ハードと同時に導入することができますので、一石二鳥と言えます。イニシャルコストやランニングコストばかりに気を取られがちですが、長い目で見たときに、本当に役立つものを導入するように考えた方がよいでしょう。

取材協力:ガートナー ジャパン株式会社

 【参考URL】
  ガートナー ジャパン
  http://www.gartner.co.jp/

特集「失敗しないドキュメントソリューション選びハンドブック」

第1回 最新複合機・プリンタ市場動向2008
第2回 ズハリ!複合機の注目製品はコレだ。
第3回 使いやすさ、見やすさを追求した複合機 ~リコー~

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