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中堅企業でいま”導入すべき”運用管理ソフト 第1回:内部統制、セキュリティ対策への特効薬!

2008年6月19日

社内のシステム環境の複雑化に伴って、必要となってくる運用管理ソフト。中堅中小企業においては、まだまだ導入が進んでいなかった。しかし、コンプライアンス、セキュリティの観点からも、注目されることが多くなり、その潜在的なニーズは徐々に高まっている。

今回は、ノークリサーチの伊嶋謙二氏と岩上由高氏に、SMB市場における運用管理ソフトの市場動向、各プレーヤーの戦略、導入の注意点などについてうかがった。

- 「運用管理ソフト」とは、どのようなものですか?株式会社ノークリサーチ 伊嶋謙二氏、岩上由高氏

運用管理ソフトは、運用監視ソフトと呼ばれることもありますが、その範疇としてどこまで含むのか、あるいはどのように分類されるかに関する捉え方は様々です。オフィシャルには、運用管理に関するベストプラクティスをまとめたITIL ver3(IT Infrastructure Library Version3)をガイドラインとし、運用管理としてどのようなものを含めるべきであるかということが示されています。

ここで、運用管理ソフトについて、ここ最近の傾向を踏まえてまとめてみると、次の図のようになります。縦軸が運用管理の目的で、横軸は運用管理の内容とその対象になります。横軸はアクセス管理やログ監査などの対象となる「アイデンティティ」、アップデートや資産管理(インストール情報取得)などの対象となる「クライアント ソフトウェア、OS」、バックアップ機能や漏えい防止などの対象となる「データ」、仮想化や稼動監視などの対象となる「サーバ ソフトウェア、OS」、そして「ハードウェア、ネットワーク」、というように分類できます。そして、縦軸は、いかに効率化するかという「管理(オートメーション)」と、不正やサーバの稼働状況などをチェックするための「監視(モニタリング)」に分類することができます。
これまでであれば、主にハードウェア・ソフトウェアの資産管理やサーバ稼動状況監視の部分が、いわゆる運用管理と呼ばれる部分だったのですが、最近の傾向としては、それに加えてコンプライアンス、ポリシーマネジメント、セキュリティの視点から、運用管理全体をマネジメントすることが考えられるようになってきました。運用管理ソフトがカバーする領域は、広義にはこのように捉えることができるでしょう。また、内部統制やセキュリティの観点では、クライアント環境(OS、H/W)によらないことが重要ですので、そういった意味でも運用管理ツールの必要性が出てきているといえます。

図1:運用管理ソフトがカバーする領域

図1:運用管理ソフトがカバーする領域

- 各プレーヤーの市場シェアについて教えてください?

年商規模で分けて、500億円以上の中堅、大規模企業では、シェアは、日立製作所のJP1、富士通のSystemwalker、IBMのTivoli、NECのWebSAMの順となっており、また5~500億円未満の中堅中小企業では、JP1、Systemwalker、そしてクオリティ社のQND Plus、Tivoli、WebSAMの順になっています。

これらの製品では、大企業に必要な機能がそろっていると同時に、ITILのガイドラインに沿ってコンポーネント化が十分に進められているということがいえます。コンポーネント化が進んだことで、中堅中小企業向けのサブセット製品を提供しやすくなったといえます。例えば、JP1であれば「JP1 Smart Series」、IBM製品であれば「Tivoli Monitering Express」、WebSAMであれば「WebSAMオフィス」など、中堅中小企業向けの製品をラインナップしています。

そのようなことから、大規模企業の市場におけるシェアが、比較的そのままSMB(中堅中小企業)の市場にも当てはまる傾向があります。ここでQND PlusがSMB市場の上位に入ってきていることについては、運用管理のファーストステップとして導入することが多い「資産管理」に特化していることが、その主な理由だと思われます。例えばSMBにおいて、Winnyによる情報漏えいなどが問題となったとき、まず不正なソフトをチェックするものとしてQND Plusが頭に浮かびやすいのだと考えられます。

エムオーテックス社のLanScopeのように中堅中小を主なターゲットとし、資産管理に加えて稼動監視もカバーしている製品もありますが、資産管理に特化した製品の方が上位に入っているという結果からも、直面で抱えている問題に対するわかりやすい対策を求めるという中堅中小企業の特徴が現れているといえそうです。

- 企業規模を問わずJP1が選ばれるのはなぜですか?

まず、デファクト・スタンダードであることが、大きく影響していると思います。運用管理におけるJP1のデファクト性はよく知られていますから、金融機関や官庁などにおいても多く導入されています。そして、特に中堅中小企業では、製品を横並びにして調べるといったことが少ないため、運用管理ソフトに限らず、普段つき合いのあるSIerを信頼する傾向は強いでしょう。大企業でもSMBでも実績のあるものを選択することが多く、またSIerとしても、デファクト性があって、サポートについて安心感のある国産の製品をすすめる傾向があり、その結果JP1が選ばれるということになるのでしょう。他と比べて機能的に優れているかどうかということとは別に、信頼と実績によって築き上げられた地位ということなのだと思います。

Systemwalkerは、もう少し規模の小さい企業をターゲットとしています。年商500億を越える企業に対してはJP1が強いのですが、年商500億以下の企業では、富士通のチャネル販売が強くなりますので、JP1 とSystemwalkerのシェアは競ってくるようになります。TivoliもWebSAMもそうですが、中堅クラスの企業への販売数は多いので、その市場での売り上げを伸ばしていくことで、今後シェアを広げていく可能性はあるかと思います。

- 各プレーヤーの戦略について教えてください。

コンプライアンス、セキュリティなど、より経営に近い視点を機能に含めようと力を入れている点については、どのプレーヤーも比較的歩調を合わせていますが、そのアプローチの方法は色々あります。スイートタイプの製品では、従来の運用管理そのものにはあまり差はありませんが、その点で少しずつ違いが出ていると思います。例えば、日立製作所では情報漏えい対策のソリューションの「秘文」を提供しているので、それとのセットでソリューションをなしています。一方、Systemwalkerでは、ドキュメントの管理における情報漏えい対策の機能をSystemwalker自身が持つようになりました。

また、日本HPでは、運用管理の統合化を見据えたサーバ監視機能を、SMB向けに提供しています。これまでサーバ監視機能は、サーバの稼働状況だけを監視するものでしたが、これは物理的なサーバと同時に、その上のアプリケーションや、サービス間のマッピングなどもチェックできる機能を持っています。仮想化もそうですが、これからは、1つのサーバ上に2つ以上のアプリケーションが動作していることもあり得るわけですから、物理サーバとサービスの両方を監視する必要性が出てくるわけです。その他、日本HPでは、ブレードサーバにも力を入れ、サーバ戦略と運用管理ソフトをリンクさせているといえます。

- 運用管理ソフトの機能別の導入率と、今後の予想について教えてください。

中堅企業を対象とした、運用管理ソフトの機能別導入状況(2006年7~11月)の調査結果では、導入率は「バックアップ管理」が最も高く、次いで「ソフトウェア資産管理・配布管理」、「ジョブ管理」と続きます。導入に前向きである企業は、やはり「バックアップ管理」が最も多く、それに「セキュリティ管理」、「資産管理・配布管理」と続いています。

「バックアップ管理」は導入率も高く、そして、まだ導入していない企業も導入には前向きであるという結果が出ています。「ジョブ管理」についてはSMBでの需要が少ないため、今後の伸びは少ないでしょう。「ソフトウェア資産管理・配布管理」は現状での導入率は、24.3%とまだそれほど高くはないですが、導入にはかなり前向きといえます。この分野では、ライセンス管理が重要となりますが、同時に、クライアント側に不正なアプリケーションが入っていないかを管理したいという需要が増えると思われます。それは情報漏えいの観点からも必要性が増してくるでしょう。

図3:運用管理ソフトウェア機能別導入状況

図3:運用管理ソフトウェア機能別導入状況

そして、これから伸びると思われるのは「セキュリティ管理」、「ネットワーク管理」でしょう。「セキュリティ管理」の導入率は20.3%程度となっていますが、大部分の企業が導入に前向きであるという結果が出ています。そして、外部からの侵入のほか、内部ネットワークからの不正アクセスや情報漏えいの対策も必要になり、ネットワークセキュリティに対する中堅企業の意識も高まりつつあります。

「ネットワーク管理」では、例えば、社内へ持ち込んだノートパソコンからのウィルス感染を防ぐなど、ネットワークの検疫機能(NAP、ネットワークアクセスプロテクション)のニーズや、問題のあるサイトへのアクセスを制限するWebフィルタリング機能、特定のファイルへのアクセスを制限するアクセスコントロールなどのニーズがこれからますます強くなると思います。このように、コンプライアンスとセキュリティの観点による機能の強化というのが、ここ最近の傾向であるといえます。今後は、もしかしたら「アクセス制御」、「ポリシーマネジメント」といった新しいカテゴリも出てくる可能性もあります。

- 必ず導入するべき運用管理の機能というのはありますか?

最低限必要な機能というのは、一概には言えません。自社内のサーバが稼動し続けている必要があれば、サーバの稼動監視機能を導入するべきですし、クライアント側に不正なソフトウェアがインストールされていないかをチェックしたければ、資産管理の機能を導入するべきです。つまり、社内システムの利用状況や環境によって、また、何を重要視しているか、どこをウィークポイントと考えているかによって必要となる機能は違ってくるわけです。

- 最後に、運用管理ソフト導入を考えているユーザー企業様へ向けたメッセージをお願い致します。

特に中堅中小企業では、運用・管理を考えて計画的にシステムの導入を行うことは少なく、その場の必要に応じてサーバやアプリケーションを導入し、結局システム全体の状況が把握できなくなっているというのが現状ではないでしょうか。だからこそ運用管理ソフトが注目され、色々な製品が提供されているわけです。

まず大事であるのは、運用管理の対象となるものをしっかりと認識することだと思います。例えば、ワークグループでファイルサーバを共有して利用しているような場合に、そのファイルサーバが単なるクライアント側のハードディスクであるかのように誤解してしまい、運用管理の対象とは思わなくなっていることがあります。まずは、何を運用管理すべきであるかを認識し、その上で、自社に必要な運用管理とは何かを考えていくべきでしょう。

また、運用マニュアルを作成することも大切なことです。例えば、新しい社員のアカウントを作るときなど、何となく管理しているなどという状況は好ましくありません。運用マニュアルがあることで、運用管理に対する認識も生まれてきますので、是非用意して欲しいと思います。

運用管理を考えていくときには、問題点を何とかするという消極的な捉え方よりも、運用管理の対象となるものをしっかりと認識することが大切です。

取材協力:株式会社ノークリサーチ

特集「中堅企業でいま”導入すべき”運用管理ソフト」

第1回 内部統制、セキュリティ対策への特効薬!
第2回 押さえておきたい主要製品の特徴をチェック
第3回 Pick up!運用管理ソフト~NEC~
第4回 Pick up!運用管理ソフト~日立製作所~

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