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Linuxサーバ時代のスタンダード、HAクラスタ最新事情 第1回:10分でわかるHAクラスタの基礎講座

2008年2月18日

ネットワークの信頼性が強く求められている昨今、ミッションクリティカルなシステムのみならず、ネットワークを利用した多くのサービスや企業活動においてサーバダウンは深刻な問題となっている。この障害に備える手段のひとつが、システムの可用性を高めるHAクラスタシステムだ。第1回目は、IDC Japanの入谷光浩氏に伺った最新の調査結果から、現在市場の基礎知識を前編としてお送りする。

1、HAクラスタとは

IDC Japan株式会社 ソフトウェアリサーチアナリスト 入谷 光浩-では、まずHAクラスタとはどのような製品なのでしょうか。

クラスタにはいくつかの種類があり、定義によっても異なってきますが、一般的に言われるところのHAクラスタは、メインとなる1次サーバと、バックアップ用の2次サーバで構成され、1次サーバに障害が生じた場合に、2次サーバへ処理を引き継ぐ、というような機能を指します。そして、このような機能を実現するソフトウェアを、HAクラスタソフトウェアと呼んでいます。これは1対1だけではなく、1対Nであるとか、N対Mというものも含まれます。要するに、スタンバイ型とアクティブ型を交互に切り替える機能を意味しています。

2、市場動向について

-数年ぶりの調査ということでしたが、市場動向はいかがでしたか。

HAクラスタの市場調査はこれまであまりされていなかったこともあり、今回情報が少ない中で調査を進めていたのですが、調査前の仮説としては、サーバが高性能化している今日において、HAクラスタの需要はそれほど大きくないのではないかと考えていました。しかし、調査結果を見ると実はその全く逆でHAクラスタの市場は非常に伸びていることがわかりました。

IDCが最初に行った調査では2004年までのデータがあり、2004年のHAクラスタの市場規模はおおよそ112億円でした。それに対して、今回の調査結果を見ると2005年で20%近く伸び、2006年も10%以上伸びているという結果が出ているのです。IDCの別の調査で、2006年のソフトウェア市場全体の成長率は大体6%だったのですが、それに比べて倍近い成長率を示しているということで、非常に成長している市場であると言えます。

図1:HA Clustering Software 売上額実績 2004-2006

-予想外の成長の理由について、どう分析していますか。

まず2005年で大きな伸びを見せていることにつきまして、この年はLinuxを乗せたx86サーバが非常に多く市場に出た年でした。特に、金融業においては数百台規模で導入されていることが確認されるなど、大型案件が目立った年でした。そのことが、この年にHAクラスタの市場成長率が20%近い伸びを達成した、ひとつの大きな要因だと思われます。2006年は、また続けて20%近くとはいかないにしても、そこからさらに10%以上伸びているということは、まだかなり高い成長を続けていると言えます。

ここでLinux向けとWindows向けのHAクラスタが2桁以上の伸びを示し、このことが市場全体を牽引しています。逆にUNIX向けが、市場としては鈍化傾向にあります。元々2004年時点でUNIX向けというのが58%で、クラスタの市場というのは、UNIXがほとんどメインだったわけです。その後、先ほど申し上げましたようにLinuxが非常に大きく拡大します。Windowsもシェア的には大きな伸びはありませんが、これも2桁位の成長を続けています。

なぜかといいますと、まずUNIXサーバ自体、出荷台数は毎年下がる一方なのです。当然、乗っているクラスタの出荷本数も下がります。UNIX向けクラスタが下がるのはひとつの傾向ですが、なぜLinuxは上がったかといえば、要するにUNIXからLinuxへ移行しているユーザが多いからです。SolarisをやめてLinuxに移るユーザは多いと思いますが、元々Solarisは非常に良いOSですし、それ自体サーバも高可用性を持っているので、そこでは、クラスタを導入しなくてよかったのですが、Linuxにそれをマイグレーションしたときに、Linuxでは心許ないという話が出てくるわけです。

まだ、Linuxが大きな信頼を得ていないということと、x86サーバ自体もUNIXサーバに比べたら、信頼性という意味ではまだ不安視されているユーザが多いということで、Linux+クラスタという組み合わせが、非常に増えたわけです。また、Linuxとクラスタを導入しても、Solarisを1台購入するよりもずっとコストが安い。Solarisは1台で200~300万円ですが、例えば50~60万円のx86サーバ2台に、30万遠位のクラスタを乗せてクラスタ構成をとっても、せいぜい150万円くらいで、Solarisよりも安いということになるのです。実は、このように手軽にクラスタを導入できるということが、市場が伸びてきた背景にあるのです。

図2:HA Clustering Software 売上額OS別構成比 2004-2006

-それでは、HAクラスタを積極的に導入するというより、UNIXからの移行の際に導入するケースが多いのですか。

もちろん、それも多いわけですが、でもそれだけではなく、もうひとつはシステムダウンの恐ろしさですね。今日、これだけWeb上でサービスが提供されるようになってくると、システムがダウンしただけで大きな損失となりかねません。システム障害に関して色々な事件もありましたし、現在それを恐れるユーザが非常に増え、やはりHA化は不可欠であるという意識が強くなっていますね。

-HAクラスタの市場シェアについて教えてください。

例えば、NEC、富士通、東芝ソリューション、シマンテックなどがシェアの上位に入ってきます。NECはLinuxディストリビューションベンダーをはじめとした販売パートナーを多く抱え、Linux向けに力を注いできましたので、Linuxサーバの需要が高まった時期と連動して売上を大きく伸ばしています。

富士通、東芝ソリューション、シマンテックの3社は従来からUNIX向けが主力でしたが、今では売上に占めるLinuxの割合が増えつつあります。今後この3社もLinux向けの販売をより強化していく方針をとっています。また、LifeKeeperを扱っているサイオステクノロジーは従来からLinux向けが中心だったので、売上を伸ばしています。

市場全体として言えることは、各ベンダともにHAクラスタ製品に対するプロモーション力が弱いということです。もっと積極的なプロモーションを展開し、ユーザにクラスタの重要性を訴えかけることが必要です。また、新しいクラスタソリューションを訴求していくことで顧客層を拡大していくことも今後のポイントになります。そうすることで、市場全体がより活性化していくことになるでしょう。

-では、ユーザにはどのような業種が多いでしょうか。

市場全体でみると、まず金融と通信キャリアの2つは、クラスタ構成を必ずとっていると言ってよいでしょう。特にネット証券などは、システムがダウンしたら一巻の終わりですから。そういったところはまだUNIXが中心ですが、徐々にLinuxサーバも増えてきています。中堅企業で言えば、地銀やインターネット証券をメインにしているような証券会社では、特にクラスタ構成は広がっています。

また、企業規模に限らず、組み立て、製造業者、家電メーカーといった業種では、納期も厳しく競争も激しくなってきており、生産ラインや受発注システムが止まれば結構な損失になります。そのような企業では、導入も進んでいると思われます。あと、これは大手になりますが、ガス・電気などのインフラ系では、システムダウンをかなりシビアに見ており、導入率は高くなっています。

特集「Linuxサーバ時代のスタンダード、HAクラスタ最新事情」

第1回 10分でわかるHAクラスタの基礎講座
第2回 3つの最新技術トレンド
第3回 ソリューション最前線~日本電気株式会社
第4回 ソリューション最前線~サイオステクノロジー株式会社

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