2008年1月25日
企業インフラとして認知度が高まっているBI(ビジネス・インテリジェンス)ですが、前編で言及したとおり、他のソリューションに比べて導入難易度はやや高めです。失敗しないBI導入のために、後編では主に製品の市場動向について、引き続きガートナー ジャパン堀内秀明氏にお話を伺いました。
1、「パッケージ」と「単体ソリューション」
- BIには、パッケージ化されたソリューションと、単体のソリューションがありますが、どのような違いがありますか。
まず、パッケージ化されたソリューションについては、そのパッケージに合うように最適化されているということ、あるいは、必要最低限の機能が提供されているということが考えられます。次に、単体ソリューションは、何とでもつなげられる、あるいは拡張性に富んでいる、いわゆる異種システム混在環境の中で多くの人が使えるようになっている、というのが特徴です。一般的には、この辺りが主な違いになってくると思います。
2、BI市場動向について
-ここ最近BIの値下がりが目に付きますが、現在のBI市場の動向について教えて下さい。
全体的にBI製品の価格が下がったということではなく、これまでBI市場に参入していなかったベンダが、比較的安価なソリューションを出してきているのが理由のひとつです。それから、今までBIのビジネスを行っていなかったところが、ソリューションの付加価値としてBIの機能を取りこんでいるという状況もあります。BI機能をメインに販売するのか、付加価値として販売するか、ということになれば自ずと価格は変わってくるはずです。さらに、そのような状況の中で、中堅中小企業や部門での利用を想定した製品を出荷しているベンダも存在しますので、全体を見ればBIが値下がりしたように見えるかも知れません。またそんな中で、大手企業を主な対象顧客としたベンダもある、というのが現状だと思います。
国内ベンダで、比較的安価なBIソリューションを出して成功したものとして、ウイングアーク テクノロジーズの「Dr.Sum」という製品があります。これは当初、Excelよりもう少し多くのデータを集計したい、という発想から生まれたもので、操作は非常にシンプルで、価格も手頃な製品です。現在では、要望に合わせて様々なオプション機能が用意されており、顧客の要望とともに成長した製品のひとつだと思います。
マイクロソフトは、SQL ServerをBIのプラットフォームと位置づけており、パッケージに、多次元データベースやレポーティングなどの機能が含まれています。BIの取り組みを行うときには、ほとんどの場合データベースが必要になりますので、それならば、それらを組み合わせたソリューションをつくればよいという発想になるわけです。また、マイクロソフトのソリューションは、事前にある程度のつくり込みが必要ですが、逆につくり込みの余地があるという見方もできます。ここで、BIの機能がデータベースの付加価値として付いているという見方がされると、BIの価格帯も安くなってきます。
この様なマイクロソフト製品を意識したのが、日本オラクルです。「Oracle Business Intelligence Standard Enterprise One」は、SQLサーバを意識した製品で、BIという名前はついていますが、DB製品の一種と考えたほうが妥当です。
一方で、Excelの扱えるデータ量が100万件を超えたために、もうひとつの流れとして、やはりそのままExcelを使っていこうという考え方もあります。情報を共有したいときにはシェアポイントサーバのExcelサービスを用いればよいですし、バックにSQLサーバをおけば、もっと多くのデータを見ることができるというわけです。これは中堅中小企業、あるいは部門での使用において、状況によっては検討してもよいのかも知れません。
手頃な価格のBIソリューションが出てきたわけですが、各社から出ているそれらのソリューションが、本当の意味で低予算での導入が可能であれば、それは中堅中小企業で検討される可能性はあるでしょう。パッケージ価格が安いというのは検討する上で非常に前向きになれるのではないかと思います。

3、Bizma!読者へのメッセージ
-BIソフトウェア購入を考えるユーザ企業のご担当の方へ、メッセージをお願いします。
BI導入を考える際に、まず必要なことは、BIで何をしたいのかを明確にすることです。データがあれば何とかなるだろうと思いがちですが、実際は何ともなりませんので、データを利用して何をしたいのか、ということをよく考える必要があります。単にBIを入れましたということではなく、きちんとした目的意識を持つことが大切です。
次に大切なポイントは、データをきちんと準備するということです。また、データは入っていても、データを見るためのリクエストを投げてから時間がかかるようでは、使われなくなる可能性があります。情報として存在するかということと、それがきちんとしたパフォーマンスで返ってくるかという、2つの問題があることに注意して下さい。
最後は、BIをいかに組織内で有効に活用していくか、ということについてですが、大企業の場合にはBICC(BIコンピテンシ・センター)を作ることを推奨するのですけれども、人材的に厳しい場合には、兼任でもよいですので、BI活用を推進していくための担当者をきちんと割り当てて、重要な役割として会社としても個人としても認識してもらうことが大切になってくるのではないかと思います。放っておいても使ってくれる、というのは本当に稀だと思いますので、うまく現場をモチベートするような取り組みと、そしてそれができる人の割り当てを行って欲しいと思います。
目的意識を持つこと、データが準備できているのを確認すること、そして、その目的に向けて適切な啓蒙ができる人を配置すること、この3点がポイントになるかと思います。

Bizma!編集部
特集「企業力アップのカギ、BI導入を成功させる」
| 第1回 | 今から間に合う最新BI入門(前編) |
| 第2回 | 今から間に合う最新BI入門(後編) |
| 第3回 | 次世代BIでビジネスが変わる |
| 第4回 | SMBに最適なBIはコレだ! |
| 第5回 | 機能で勝負、注目のBI製品 |
[企業力アップのカギ、BI導入を成功させる関連ページ]
- BI
- BusinessObjects XI Release 2 (日本ビジネスオブジェクツ株式会社)
- Cognos 8 Business Intelligence (コグノス株式会社)
- Dr.Sum EA (ウイングアーク テクノロジーズ株式会社)
- Oracle Business Intelligence Standard Edition One (日本オラクル株式会社)
- SAS Enterprise BI Server (SAS Institute Japan株式会社)
- Sybase IQ (サイベース株式会社)







