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企業力アップのカギ、BI導入を成功させる 第1回:今から間に合う最新BI入門(前編)

2008年1月18日

現在、BI(ビジネス・インテリジェンス)の市場は活発な動きを見せています。低価格のソリューションも提供されるようになり、BIは今後取り組むべきテクノロジーとして注目されるようになりました。今回の特集ではそんなBIにフォーカスし、市場の動向、導入に関する問題、トレンド、各ベンダと製品などについて、様々な角度からお伝えします。ガートナー ジャパンの堀内秀明氏に伺う、BIの基礎から導入を成功させるための注意点、およびBI市場の現在の動向。第1回目はその前半部を公開します。

1、BI(ビジネス・インテリジェンス)製品とは

ガートナー ジャパン 株式会社 リサーチ アプリケーションズ マネージング バイス プレジデント 堀内 秀明-最初に、BI製品とはどのようなものか解説していただけますか。

まず、いわゆるBIと言ったときに、ツールや分析手法ばかりがフォーカスされる傾向にありますが、その前に“BIとはどのようなものであるか”という本質に立ち返って欲しいと思っています。そもそもBIというのは、データを分析し、活用して、ビジネス上の判断材料にしていくためのものです。つまり、ビジネスを「勘」だけで行うのではなく、きちんとデータに基づいて判断していきましょう、ということですね。だからこそ「ビジネス・インテリジェンス」であるわけです。

それでは、実際にデータに基づいて判断をするには、どうすればよいかということになりますが、そのために便利である機能をパッケージにしたものが、BIツールと呼ばれるものになるわけです。

2、「BI導入に期待する効果と実際に得られた効果」について

-御社の調査結果によりますと、期待も効果も大きい項目として「意思決定の迅速化」「社員の生産性の向上」「業務プロセスの効率化」が上位にきていますが、それはなぜでしょうか。

この上位3つは、BIに取り組むことによって、直接的にメリットが得られる項目です。例えば、情報が一元化されておらず、複数のシステムに散らばったデータをまとめ上げていく作業が必要であるところを、BIによって必要なデータをすぐに取り出すことができれば、意思決定の迅速化につながりますし、業務プロセスの効率化が行われたことにもなります。さらに、手間が省けた分、社員がより付加価値の高い仕事を行うことによって、生産性の向上が得られることにもなるでしょう。

これらのことは、BI導入の効果として直接得られるもので、しかも結果が見えやすい効果であると言えます。むしろBIが、業務のスリム化、あるいはコスト削減などのためのソリューションであると考える人も、少なくないように思います。

-同じ調査結果で、「売り上げの増加」「顧客満足度の向上」「新規顧客の獲得」が、期待も効果も低い項目となっています。これらは、ビジネスの目的として重要な項目だと思われますが、上位に挙げられないのはなぜでしょうか。

これらの項目は、データを見ているだけでは効果が表れないことばかりです。どんなにデータを分析したとしても、その後に何かしらの動きがなければ、何のメリットも得られません。例えば「売り上げの増加」であれば、データを分析した結果を元に、新規事業へ取り組む、あるいは新製品を開発するなど、次の行動を起こすことで、間接的に得られる効果であると言えます。

しかもその効果は見えにくいものです。そのため、期待する効果としては発想しにくく、効果も実感しにくいのではないかと思います。また、IT部門の認識として、これらの目的のためにBIを活用するというところまで、視点がなかなか落ちてこないのが現状かも知れません。

図1:BIの導入に期待する効果と実際に得られた効果

-今後BIはどのような使われ方をするべきでしょうか。

調査結果の上位にある項目も、BIの用い方の一つではあると思います。しかし、ユーザの中には、やはりもう少し気の効いた使い方はできないか、という思いを持たれている方も多くいらっしゃいます。業務の効率化やコスト削減などで収益を改善するということに関しては、ITに限らず数多く行ってきていますが、もう少し未来志向でビジネスを改善していくことはできないかということです。

これまでは、売上分析などの過去の指標について、どれだけ速く、どれだけ正確なデータを集計できるかということが主な目的であったわけですが、これからは、例えば、近い未来についての予測などが、トレンドの一つになりつつあると思います。特に、足の速い製品を扱われている流通業や製造業などでは、既にある程度の取り組みをされているところも見受けられます。

ここで注意しなければならないことは、BIの活用の仕方というのは、IT部門だけで考えても答えは得られないということです。他の分野でも言われることですが、現場部門との協調が極めて大切です。現場部門というのは、ITに対して必ずしも満足しているわけではなく「本来はこんなことがやりたいのに、現状ではそれをサポートしてくれていない」という思いがあります。では、それをどうやって解決するのかということを、これからは前提条件なしで考えていく必要があるのではないかと思います。

3、BI導入を成功させるためには

-どのようになれば、BI導入が成功したと言えますか。

何らかの形で成果が見えないと、成功したとは言えないわけですから、現場から数値が上がってきて、効果が確認できて、それで初めて成功したと言えます。ただ、例えば「レポート作成の時間が短縮された」などのように、効果がIT部門だけで閉じていることもあります。実は、日本ではそのケースがとても多いのです。でも、本当の情報の活用というのは、その次からです。情報を準備して、分析して、判断して、それを活かして、施策を打って、それを検証するというライフサイクルがあって、本当に情報を活用したと言えます。さらにITに投資した分より効果が大きくなったところで、本当に成功したことになるでしょう。

ただし、ここで注意点が一つありまして、投資対効果というものは、あまり深く考え過ぎると足がすくんでしまう可能性があるということです。BIツールなどを入れて、ユーザがいつでも必要な情報を見ることができるという状況にするということは、既にビジネスの前提条件となりつつあると理解することが必要です。

仮に投資対効果を明確化することができなかったとして、必ずしもIT投資に失敗したとは限りません。昨今は説明責任が求められる時代でもあり、適切なデータに迅速にアクセスするようなインフラは必要不可欠と言えます。もはやBIは携帯電話など同様に、基本的なインフラ投資と考えてもよいでしょう。そのうえで、成果を得るための活用方法を考えればよいと思います。

図2:BI利用における課題

-企業内でユーザのスキルを向上させて、BIを業務で有効活用するためには、どうすればよいでしょうか。

まず大切なことは、BIは導入したら終わりではないということです。一般的な基幹システムの場合では、導入することが一つのゴールでもあるわけですが、BIは導入したときがスタートなのです。先ほどもお話ししましたが、BIの活用をライフサイクルで見れば、データを分析して、それを元に判断して、施策を打ち、そしてそれがどうであったかという検証を行う、といういわゆるPDCAサイクルになっています。BIを導入した段階では、まさにスタート地点にいるわけです。

重要なのは、このようなサイクルを回していくことであり、その中で「このようなデータをこういうタイミングで見ると、こういったビジネス判断ができる」などというようなことがわかってきて、それにより分析結果を交渉や経営戦略に役立てていくことができるようになるわけです。

ではユーザがBIを有効活用していくためにどうすればよいかということですが、我々の推奨事項の一つは、BI活用をサポートする体制・組織(ガートナーではこれをBICC「BIコンピテンシ・センター」と呼んでいます)を企業内に作るということです。実際のところ、BIを活用することが重要であることはわかっていても、日々の業務の中で直接必要性がなく、どこから手をつけてよいかわからない、などということがよくあります。そのようなときに、「このようにBIを使ってみてはどうですか?」「皆さんが関連するデータには、このようなものがありますよ。」というようなことを啓蒙していく組織がないと一歩先へ進むのは難しいと思います。

Bizma!編集部

特集「企業力アップのカギ、BI導入を成功させる」

第1回 今から間に合う最新BI入門(前編)
第2回 今から間に合う最新BI入門(後編)
第3回 次世代BIでビジネスが変わる
第4回 SMBに最適なBIはコレだ!
第5回 機能で勝負、注目のBI製品

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